15分1人芝居「告白」 ゴルゴ40(フォーティー)作
【登場人物】♀1人
♀ ナツキ・・・(高校3年生)
高校の使われていない壊れたプールの裏である。
ナツキがやって来る。
同級生の男子を待たせていた様子。
「たっちゃん、ごめ~ん、待った~?
って待ったよね?
約束の時間10分も過ぎちゃってるし。
え?
20分は待ったって?
何で、そんな早くから来てたの?・・・
あ、ごめん。
僕、自分から誘っといてヒドイこと言っちゃってるね。
たっちゃんが、わざわざ早く来てくれたのに・・・
うん、嬉しいよ。
あ、でさ、遅刻の言い訳なんだけど、終礼中にケイタイ鳴っちゃってさ・・・
え?
うちのクラスおかしいんだって。
担任があれじゃん。
『受験生は余計なものを持ってくるな!』とか言って、ケイタイの持ち込み禁止なんだよ。
うちのクラスだけ。
も最悪。
受験生だからケイタイが必要なのにね・・・
いや、帰りに塾行って遅くなる日があるじゃん。
まあ、たっちゃんとかまーくんとか、いつも一緒だからいいんだけどさ。
実はそれが一番危なかったりして・・・
ははは、冗談だよ、冗談・・・
え、何?・・・
たっちゃんがメールくれたのお?
お前かー!
犯人は。
いや、すぐ没収されたから見てないよ。
変なメールじゃないだろうね?
え?
4時にプールの裏って、確認を送ったって?
あっちゃー。
それ何か誤解されそうだよ。
ほら(周囲を見回して)
ここって誰も来ない場所だし・・・(しゃがんでタバコの吸い殻を拾う)
不良がタバコ吸う所だもんね・・・(吸い殻を捨てる)
あの先生、「これは誰からだ?」って聞きそうだもんね。
そ。
嫌なやつなんだから。
まあたっちゃんと待ち合わせして、タバコを吸う約束だなんて思わないだろうけど・・・
あ、もしかして、たっちゃんも誤解しちゃったかな?
こう、あらたまって、2人だけで話がある、なんて言っちゃって。
塾の帰りだと他の子もいるから、2人切りになれる場所って考えたら、こんな所になっちゃったんだ。」
間
「あ、あの・・・
僕たちって、昔から仲いいよね。
家も近いし・・・
てゆーか、僕が小学校の時転校して来てさ、みんなにいじめられてたの、たっちゃんがかばってくれたんだよね。
あれ、すっごく嬉しくってさ・・・」
間
「あー・・・
思い切って聞いてみるんだけど・・・
たっちゃん、僕のこと好きでしょ?・・・
いや、幼なじみの、ただの友だちとしてじゃなくて・・・
ホントのこと言って欲しいんだけど。
その方が話が早いから。
それに、ぶっちゃけ僕もたっちゃんのこと好きだし・・・
うん。
幼なじみとして以上にだよ。
みんなだって、そういう風に見てると思うんだ。
ははは。
あれ、何だかアッサリコクッちゃった?僕。
だから、たっちゃんもホントの気持ち聞かせて欲しいんだ。
お願いだよ・・・
うん。
ありがとう。
良かった。
たっちゃんも僕と同じ気持ちだってわかってさ。
でね、これからも同じように付き合って欲しいんだけど、いいよね?」
ナツキ、少し引いている。
「ご、ごめんね。
ちょっと待って。
あ、いや、嫌じゃないんだよ、キスくらいさ・・・
だけど・・・
とっても嬉しいんだけどさ・・・
い、今は、まだ、ちょっと・・・
ごめん。
僕、何言ってんだか、わかんなくなってるね。」
間
「今日わざわざ呼び出して来てもらったのはさ、どうしてもたっちゃんに言っておきたいことがあって・・・
あ、好きだってことじゃなくて・・・
いや、きっとすっごくビックリすると思うんだ。
でね。
もしも、それを聞いた後でも、構わないって言うんだったらさ・・・
うん。
キスしよ。
してもいいよ。
あー・・・
何だかやたら恥ずかしくない?
何でこうなっちゃったんだろ?・・・
じゃ、じゃあさ、言うよ・・・」
ナツキ、耳打ちして重大な告白をしている。
「ね?
ビックリしたでしょ?
ウソじゃないよ。
証拠だってあるからさ。
あ、あの・・・
ここ触ってみてくれる?
うん。
構わないから。」
ナツキ、スカートの股間の部分を示している。
「あるでしょ?
わかった?
女の子は、こんなもの持ってるわけないよね。
僕さあ、転校して来る前はね、ずっと男の子だったんだ。
いや、今でもカラダは男の子なんだけどね。
ほら、胸だって全然ないし・・・
そこで笑うなよ!
もう・・・
それに・・・
余計なものついちゃってるし。
たっちゃん、性同一性障害って、知ってるよね?・・・
うん。
僕それなんだ。
だから、カラダは男の子でも、心の中は正真正銘女の子だよ。
気持ち悪いかな?
女の子なのに、ついててさ・・・
ごめん・・・
泣くつもりなんかなかったんだけど・・・
もう卒業だから・・・
たっちゃんにだけは、ホントのこと言っておきたくて・・・
今はまだわかんないけど、将来は手術して取っちゃうつもりだよ。
そしたらさ、ホルモンの具合がうまく行って、カラダの方も女の子になれるはずなんだ・・・
だけど、今は・・・
僕って、化け物みたいなもんだよね?
そうでしょ!
たっちゃん!・・・」
「たっちゃん」に引き寄せられるナツキ。
目を閉じて
「たっちゃん!?
ありがとう・・・」
~おしまい~
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