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ゴルゴ40の高校演劇用脚本置き場

高校演劇用の脚本置き場

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ホワイトバレンタイン

「ホワイト・バレンタイン」(原題「イワン・マトヴェ-イチ」)

               原作:チェーホフ  潤色:ゴルゴ40         

〔登場人物〕♂1名 ♀2名

♂浩一郎・・・筆名「朝霞浩一郎」。ミステリ-作家。凸凹大学文学部客員講師。

♀ 和子・・・浩一郎の妻。

♀ 政岐・・・凸凹大学文学部英文学科生。

〔背景〕20××年2月14日。
    都会の外れのちょっと高級な住宅地にある家の1室。

     家の1室である。 
     テ-ブルに座った浩一郎は、神経質に爪をかんだり、立ち上がったりしていらついている様子。
     腕時計を見て大きなため息と共にがなり立てる。

浩一郎「まったくどうなっておるのだ!
    こうなるともう、ちょっと時間に無頓着という位じゃすまされんな。
    学生という奴はこれだから困る。
    社会に出て通用せん連中ばかりじゃ。
    今日という今日はただじゃすまされんからな。」

     浩一郎は、自分の腹だちをなにかにぶちまけたい気持を感じながら、妻の部屋へ通じるドアに歩み寄りノックする。

浩一郎「和子!」

     夫の剣幕に、和子、やれやれという風な顔をドアからのぞかせる。

和子 「あなた、さっき言った通りですよ。
    今日も都合でどうしても遅れるという電話が政岐さんからございましたのよ。」

浩一郎「そんな事はもう聞いておる。
    わしが言いたいのは、自分の都合で毎日毎日遅れて来るようなアルバイトがあるか、という事じゃ。」

和子 「仕方がございませんでしょう。
    あの学生さんもお若いからいろいろおありなんでしょうからねえ。」

浩一郎「学生課の連中に厳重に文句を言っとかなきゃならんな。
    いかにアルバイトとはいえ、ちゃんとした学生を寄越して貰わねば困る、とな。
    まったくこんな無責任な話があるものか。
    アルバイトを紹介しておきながら、紹介した大学当局もどんな学生だか知らないなんて。
    あの学生の奴め、毎日判で押したように決まって二、三時間遅れてやって来おる。
    若い者ならいざ知らず、わしにとってはこの二、三時間が他人の二、三年よりもっと大切なんだ!
    あいつ、やって来てみろ、今日こそは頭から怒鳴りつけて金も払わず、たたき出してやるからな!
    ああいう不良学生になど、なんの遠慮もいるものか。」

和子 「あなたったら、毎日、ぶつぶつそんな事を言って・・・
    でも、あの学生さん遅れても毎日せっせと通って来るじゃないの。」

浩一郎「だいたい、和子、こんな詐欺みたいな話があると思うか。
    政岐というから男子学生かと思えば、やって来たのはあの小娘じゃないか。
    人を馬鹿にするにも程があるぞ。」

和子 「あら、そんな事おっしゃるのは問題でしてよ。
    あなた、いったい大学で何を教えていらっしゃるの。」

浩一郎「わしはもの書きじゃ、堅苦しい教育者とは違うぞ!
    男と女の際どい場面を書こうにもあのような女学生が相手ではやりにくくていかんわい 。」

和子 「何を言ってらっしゃるの。
    あなたのお書きになるものにそんな際どい文章なんか金輪際ありはしませんわ。
    せいぜいキスシ-ン位じゃありませんか。
    今時の女学生さんがそんなもの気にはされませんでしてよ 。」

浩一郎「わしの方が気になると言っておるのだ。
    まあいい。
    問題はあの遅刻の多さだ。
    男子学生にあんな無責任な仕事をする者はおるまいて。
    男は将来妻子を食わせてやる心構えがいるからな。」

和子 「まあ、ひどい。
    田中先生がお聞きになったら卒倒されましてよ。
    あなたがまだ売れない頃、どうやって暮らしてたかお忘れになりましたの?」

浩一郎「それとこれは別の話だ!
    お前には悪いが、ああいういい加減な女学生がおるから女全体が軽くみられるのだ。」

和子 「だけど、あなた、政岐さんが始めてやって来られた時、一目で気にいられてたじゃありませんか。
    『まるで、娘が帰って来たみたいだ』とか、年甲斐もなくはしゃいでらっしゃって。」

浩一郎「わしの見る目がなかったんじゃ。
    こんなに無責任な学生とは思いもしなかったわい。
    今日という今日は、女だからといって遠慮はしないぞ。
    いったいどういう了見でいるのか聞きただしてお払い箱にしてやるわ。」

     和子、何か思い出して自室に戻り、手に小さな箱を持って帰って来る。

和子 「お父さん、まあ、そうイライラなさらないで。
    ほら、これでもお食べになりません?」

浩一郎「なんだ、これは?」

和子 「新発売のカルシウム入りチョコレ-トですの。
    今日はバレンタインデ-ですからね、お父さんに差し上げますわ。」

浩一郎「わしが甘いものを嫌いなのを知って、どうせお前が食べるつもりで買ったんだろう?」

和子 「気持ちだけお受け取りになって。
    それではありがたくいただきますわ 。」

     浩一郎、かえってイライラし不機嫌になった様子。
     遂に玄関のベルが鳴る。
     アルバイトの政岐が息をはずませながら入ってくる。
     片手に紙袋、もう片手にはノ-ト型パソコンを重そうに下げている。
     化粧一つしていない20歳前後の女子学生で、着古した服を着ており、ズボンが擦り切れ気味なのを気にしている。
     白い息を吐きながら浩一郎の姿を認めると、彼女は、子供っぽい純粋さで一杯の微笑を浮かべて会釈し、両手の荷物をその場に下ろす。

政岐 「あ、こんにちは。
    先生、お風邪の方はもう良くなられましたか?」

     部屋の入り口に立ってにこにこ笑っている政岐に向かって、浩一郎は両手を組んで立ちあがり、ふるえ声で

浩一郎「き、君。君はいったい・・・」

     政岐は浩一郎の怒る姿を始めて見たのでびっくりして口をポカンと開けていたが、下げていた紙袋から包みを持ち出して和子に差し出し、浩一郎の言葉を無視するように言う。

政岐 「あのう、これ、先生にと思いまして持って来たんですけど・・・」

和子 「まあ、すみません。
    いったい何かしら?」

     政岐、テ-ブルの向こうで立ったまま言葉が継げずにうろたえている浩一郎を悪戯っぽく見ると、恥ずかしそうに目を伏せるようにして和子に答える。

政岐 「チョコレ-トケ-キを焼いてみたんです。
    先生は甘いものはお嫌いかもしれませんけど・・」

和子 「そんな事ありせんわ。
    きっと大喜びいたしましてよ。
    若い女性からチョコレ-トを頂く事なんて当分ございませんでしたもの。
    さ、お父さん、そんな所にでくのぼうみたいに突っ立ってらっしゃらないで、お座りになって。
    お茶でもいれて参りますからみんなで頂きましょうよ。」

     和子、自室の方へ引っ込む。 
     浩一郎、困ったような顔をして座る。
     政岐、コ-トをとり浩一郎の真向かいに座ると、包みを開けてチョコレ-トケ-キを出している。

政岐 「先生、チョコレ-トケ-キはお好きじゃありませんでしょうか?」

浩一郎「い、いや、別にそんな事はないよ。」

政岐 「でも、何だか怖いお顔をなさってますわ。」

浩一郎「そ、それはだね・・・」

政岐 「あ、そうか、義理チョコというのがお気に召されないのですね。
    でも 、先生、私これでも本を見て一生懸命作ってみたんです。
    それに今年はチョコレ-ト差し上げる方は先生だけなんですよ。」

浩一郎「ボ-イフレンドとかにあげるのではないのかね。」

政岐 「私、男の人とお付き合いした事がないんです。
    引っ込み思案だし、第一可愛くないですもんねえ。」

浩一郎「そ、そんな事はないよ。
    それは、男が悪い。
    そう、周りの男の見る目がないんだよ。」

政岐 「そうですか?」

浩一郎「そうです!
    そうに決まっておる!」

     大声にびっくりしたように早足で、和子、盆の上にティ-カップ、ケ-キナイフ、皿をのせて入ってくる。

和子 「まあ、何をそんなに大きな声出してらっしゃるの?」

     3人で紅茶を飲みながらチョコレ-トケ-キを食べる。

和子 「あら、お父さん、甘いものをそんなにお食べになるのって珍しいですわね。
    やっぱり、政岐さんから頂いたものですと、お違いになるのですね。」

政岐 「わあ、やったあ、嬉しいっ!」

     政岐、子供のように嬉しそうにはしゃぐ。
     浩一郎、黙々と食べおえてから、よそよそしく

浩一郎「まあ、頂きものだからな。
    礼儀というものだ。」

和子、食べおわったものを盆にのせて出ていく。
   政岐、ノ-ト型パソコンをテ-ブルの上にセットして仕事の準備を始める。

浩一郎「ところでね、君。
    私が言いたかったのは・・・」

     浩一郎、白いものの目立つ頭をボリボリ掻きながら思い出そうとする。

政岐 「な、なんですか?」

浩一郎「だから、チョコレ-トだの、ケ-キだのという事はどうでもいいんだ、そんな事は。」

     政岐が手を止めて露骨に悲しそうな顔をしたので、浩一郎慌てて

浩一郎「そうじゃない、チョコレ-トケ-キはおいしかったですよ。
    ただね、その、そうだ、君の方こそわかってるはずだろう?
    私に何か言わなきゃならない事があるんじゃないかね?」

政岐 「あのう・・・遅刻の事ですか?」

     浩一郎、喜んで

浩一郎「わかってるんじゃないか!」

政岐 「ごめんなさい。
    でも今日はケ-キを焼いてたもんですから。
    私って、1時間で出来る筈の事がなぜだか5時間もかかっちゃうんです・・」

浩一郎「わかっておれば、いいんだ。
    さあ、そんなに泣きそうな顔してないで、早く仕事にかかってくれないか。
    君のおかげで今月も締切ぎりぎりなんだ。
    私のたった一つの連載なのにこれ以上原稿を落とす事は出来ん。
    準備はいいかね?」

政岐 「はい、昨日の終わりの所を出しました。」

浩一郎「ええと、どこまで書いたっけね。
    ちょっと読んでもらえないか?」

政岐 「男はえんそうをふかしながら・・・」

浩一郎「ん?
    ちょっと待って。」

     浩一郎、老眼鏡を掛けて苦労しながら画面を覗きこみ

浩一郎「君、それはえんそうじゃなくて、たばこと読むんだよ。」

政岐 「男は煙草をふかしながらてん夜の、ごめんなさい、先生、この字は何ですか?」

浩一郎「それは、喧騒、だろう?まったく、これだからますます能率があがらんわけだ。
    君はそれでも文学部の学生なのか?」

政岐 「すみません、私、英文科ですから・・・」

     浩一郎、大きくため息をつく

浩一郎「わかった、わかった。
    君はキイを打ってくれるだけでいいから、画面を私に見せなさい・・・
    男は煙草をふかしながら、夜の喧騒の中に消えていった。
    で終わっていたんだったね?
    いいかい、次に行くよ。
    まず、段落を変えて・・・
    何やってるの。
    改行して一字下げて書けばいいんだよ。」

政岐 「は、はい。」

浩一郎「その頃、てん、仲代は二階堂の部屋を探っていたが、てん、そこで破かれたモスグリ-ンの制服のスカ-トが・・・」

政岐 「高校の制服って言ってもいろいろあるんですよね。
    私の田舎なんか、紺のセ-ラ-服やブレザ-しかなかったですから、こちらに来てからびっくりしましたわ。
    だって、いろんな色や形の制服を高校生が着てるんですもの。」

浩一郎「いいから、打ちなさい!
    それに何回言ったらわかるの。
    仲代は仲代達也の字だって。」

政岐 「仲代達也って誰ですか?」

浩一郎「誰でもいいよ!
    君は、私の仲代刑事シリ-ズや原宿鮫シリ-ズを読んだことはないのかね?」

     政岐、何も考えていない天使のような微笑みを見せている。
     浩一郎、頭を抱える。

浩一郎「うむ・・・
    英文科の君に聞いたのが間違いだった。
    私の作品は英訳されていないからな。
    後でいくらでも文庫本をあげるから読んで来なさい。」

政岐 「うわあ、ありがとうございます。
    本を読むなんて中学校以来ですわ。」

浩一郎「どうして君が文学部なんだ?」

政岐 「だって、ここしか入れなかったんですもの。」

浩一郎「わかった、わかった。
    頼むから、すぐ泣きそうになるのはやめてくれ。
    君の機嫌をとっているような暇はないんだから。
   (画面を覗き込んで)次に行っていいかい、ええっと、スカ-トがごみ箱の底に、あ、ごみはひらがなで頼むよ、押し込めてあるのを発見した。
    ほら、言わなくても、ここで丸が入る事くらいわかるだろう?・・・
    馬鹿、『ほら、言わなくても・・・』ってのは打たなくていいんだよ。
    ねえ、君、君は時間で雇ってるんだよ、字数じゃなくってね。
    いい加減、仕事に慣れて能率を上げてくれないか。」

政岐 「じゃあ、私がわざと時間を引き延ばしているとでも、お考えなのですか?
    私なりに一生懸命やってるのに・・・
    なんでしたら、時給を下げて頂いても結構ですけど・・・」

浩一郎「いや、問題はそんな事じゃないんだよ!
    どうしてお金の事なんか言いだすんだ?
    女の子がそんな事言うもんじゃないよ。
    いいかい、大切なのは正確さという事なんだ。
    もの書きにとっては1字1句が命なんだからね。
    君には、正確さという習慣を是非ともつけてもらわないといけないね。」

     和子、盆にたっぷり紅茶の入ったティ-サ-バ-とカルシウム入りチョコレ-トの箱、ティ-カップを2つのせて運んでくる。

和子 「お疲れ様。
    政岐さん、一段落したら少し休憩なさいませんか?」

浩一郎「おい、まだほとんど進んでないんだよ。
    それに彼女は客じゃない、仕事をしに来てるんだから・・・」

和子 「まあ、お父さん何を言ってらっしゃるの。
    朝霞浩一郎の家はそんなけちくさい家じゃありませんでしてよ。
    ささ、政岐さん、どうぞお召し上がりになって。
    なんでしたら、お父さんもいかがですか。
    気持ちが落ち着きましてよ。」

浩一郎「俺はいい。」

和子 「じゃあ、私が頂くわ。」

     和子、ゆっくりと紅茶を政岐についでやる。
     政岐は両手でぎこちなくカップを抱え、すぐに飲みはじめる。
     和子、さらに自分用のカップにも紅茶を入れると、座り込んで飲みはじめ、チョコレ-トにも手をのばす。
     紅茶がひどく熱すぎる。
     唇をやけどしないよう、政岐はちょっとずつ飲もうと努める。
     彼女はチョコレ-トを一つつまみ、さらに二つ、三つと平らげると、照れくさそうに横目で浩一郎を眺め、おずおずと四つ目の手をのばす。
     彼女は甘いものには目がないのだ。
     和子と政岐のいかにものんびりとした様子が浩一郎をいらだたせる。
     和子、紅茶を飲み終えて席を外す。
     政岐はまだ紅茶のカップを抱えている。

和子 「それでは、ごゆっくり。」

政岐 「先生、この紅茶、とってもおいしいですわ・・・」

浩一郎「早いこと頼むよ!
    時間がもったいないからね。」

政岐 「どうぞ口述なさって下さい。
    私、飲むのとキイを打つのと同時にやりますから。
    正直なところ、外は寒かったんで少し手がかじかんでたんです。」

浩一郎「そうかね?」

政岐 「ええ・・・
    今にも雪が降りそうでしたわ。
    でも、私の実家の方では2月はいつも大雪でしたけど。」

浩一郎「ほう・・・
    君はどこの出身だい?」

政岐 「新潟です。
    新潟では、3月まで雪が残ってます。
    雪ってなつかしいわ・・・」

浩一郎「まあいい。
    それはそうと、仕事に移ろうじゃないか・・・
    どこまで書いたっけね。」

政岐 「モスグリ-ンの制服のスカ-トがごみ箱の底に押し込めてあるのを発見した、まる、というところまでです。」

浩一郎「そう・・・」

     浩一郎、腰をおろして考えにふける。
     政岐は、相手が考えをまとめているのを待つ間、じっと座ったまま、まだ残っているチョコレ-トを見つめて、これ以上食べるのは下品かしらと、手を伸ばすのを迷っている。
     しかし、誘惑に負けてそろそろと手を伸ばそうとしていた時、浩一郎が口を開こうとしたので、あわてて手を引っ込める。

浩一郎「遠慮しなくていいよ。」

     政岐、にっこり笑ってチョコレ-トを一つとって食べる

浩一郎「君は甘いものが好きなのかね?」

政岐 「はい・・・
    ダイエットしなくちゃいけないんですけど。」

浩一郎「ダイエットだって?
    君はやせ過ぎてるくらいじゃないか。
    やせたい、やせたいって言うのは、若い女性の思い過ごしだね。
    男ってのは、少しぽっちゃりしたくらいの女性が好きなもんだよ。」

政岐 「いえ、私、男性に好かれたいとか、特にそんな事考えてるわけじゃないんですけど・・・」

浩一郎「君は可愛らしいんだからね。
    きっと男の人に好かれるはずだよ。」

政岐 「そうですか?」

浩一郎「そうですよ。
    大体、君はお化粧とかしないのかね。」

政岐 「ごめんなさい。
    私って、見苦しいですか?」

浩一郎「いや、いや、そうじゃないんだ。
    君はおとなしい、いい娘さんだけど、唇に紅の一つも引けば、もっと素敵に見えるってことだよ。
    ほんと、男なんてそういうので気がひかれるもんだ・・・
    待てよ、どこからだったかな。
    モスグリ-ンの制服のスカ-トがごみ箱の底に押し込めてあるのを発見した・・・
    モスグリ-ンの・・・
    モスグリ-ンの・・・
    ふむ、ところで、君の高校は、どんな制服だったのかね?」

政岐 「一番普通の紺のセ-ラ-服でしたわ。」

浩一郎「その一番普通という奴を、この頃では見かけんからなあ・・・
    君は2年生だったね。
    将来のことはどう考えているの?」

政岐 「あのう・・・
    私、もう大学やめて実家に帰ろうと思ってるんです。
    申し訳ありませんけど、このお仕事も3月いっぱいで終わらせて頂こうかと・・・」

浩一郎「何か事情があるのかね?
    せっかく慣れて来たのに、やめるなんて無責任じゃないか。」

政岐 「ごめんなさい。
    でも、今不景気だから大学出ても文学部なんて就職ないですし・・・」

浩一郎「やめたって就職出来るわけじゃないだろう?
    教養をつけるということは女性にとって大切なことですよ。」

政岐 「それは、私だって大学やめたいわけじゃないんですけど・・・
    実家が薬局なんで、帰って来て手伝えって。
    仕送りの費用も馬鹿にならないみたいですし。」

浩一郎「要するに、経済的な問題なんだね?」

政岐 「いえ、そんな・・・
    私っていつまでたっても不器用でお仕事もうまく出来ないですし、ほかの方に代わって頂いた方がって、思ったりもするんですけど。」

浩一郎「何を馬鹿なことを言ってるんだ。
    今君にやめてもらっちゃ困るんだよ。」

政岐 「で、でも・・・」

     和子、何やらうれしそうに息せき切って入って来る。

和子 「お父さん!外は凄い雪ですよ。
    この辺じゃ、珍しいわ。
    バレンタインデ-に雪なんて、とってもロマンティックですわね。」

政岐 「うわあ、私、雪って大好き。」

浩一郎「そうだ、君の時給を上げてやろう。
    倍か,いや3倍なら生活していけるかね?
    和子、政岐さんの給料を上げてもいいだろう?」

和子 「もう、あなたって本当にロマンティックじゃない人ね・・・
    ところで、さっき又催促の電話がございましたわ。
    今日中に原稿を送らないと、連載打ち切りですって。」

政岐 「あのう、雪を見に行ってもいいですか?」

和子 「いい考えだわ。
    あなたもご一緒に外に出てみません?
    とっても綺麗ですわよ。」

     浩一郎、不機嫌そうに片手で頭を抱え、もう片手をチョコレ-トに伸ばしている。
     政岐、にこにこと天使のような微笑みを浮かべている。
     
     ~おしまい~


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春の予感

「 春の予感」 ゴルゴ40(フォーティー)作 


【登場人物】♀ 上田奈津子・・・高校2年生

      ♂ 木村達也・・・・高校2年生

      ♀ 松岡麻美・・・・2人のクラス担任。国語教師。


     高校の図書室である。
     上田奈津子が1人座って本を読んでいる。
     そこへ木村達也が入って来ると、奈津子を見て少し驚いた様子。
     奈津子は背を向けているので全く気付かない。
     達也は入り口付近で携帯電話を出すとメールチェックするが、誰からもメッセージはないようだ。
     達也は奈津子の背後に近寄ると声を掛ける。

 達也「あのう・・・」

奈津子「きゃあっ!」

 達也「あ、ごめーん・・・」

     奈津子、読んでいたハードカバーの分厚い本を胸に抱き、あからさまに警戒して達也を見ている。
     変なことを仕掛けて来ようものなら、又大声を出すぞという感じ。

 達也「あー、いやー、何つったらいいんだろう・・・」

奈津子「何か用ですか?」

 達也「えーと、何やってるの?」

奈津子「何って・・・遊んでるように見えますか?」

 達也「いや、遊んでるって・・・
    ドキドキしちゃうな、そんなこと言われると。」

奈津子「はあ?」

 達也「何か大人しそうだもんね、君。」

奈津子「何言ってるんですか!」

 達也「あー、だけど気は強そうだね。」

奈津子「用がないんだったら、ほっといてください。」

 達也「つれないな。」
     
     奈津子、無視を決め込んで読書に戻ろうとする。

 達也「やだなあ、シカトしないでよ。
    僕すねちゃうよ・・・
    ねえ、何やってるのかって聞いてるんだけど。」

奈津子「本を読んでるんです。」

 達也「見ればわかるよ。」

奈津子「じゃあ何で聞くんですか!」

 達也「声掛けないと悪いかなあと思ってね。
    僕って変に気をつかっちゃう人なんだよね・・・」

奈津子「からかってるんですか?」

 達也「ねえ、読まないの?」

奈津子「え?」

 達也「だから本読まないの?
    さっきから止まってるけど。」

奈津子「読めないじゃないですか!」

 達也「あ、ごめーん。
    僕がじゃまだったんだ。」

     間 達也、奈津子の後ろに少し離れてぼうっと立っている。

奈津子「あの、そこにいられると非常に読みづらいんですが。」

 達也「気にしない、気にしない。
    僕見てるだけだから。」

奈津子「いや気になります。」

 達也「だって君から僕は見えないでしょ。」

奈津子「見られてると思うと気になって仕方ありません。」

 達也「ははあ。
    さては見られると興奮するタイプとか・・・」

     奈津子、席を立つ。
     するとそこへ松岡麻美先生が入って来る。

 麻美「木村君!」

 達也「あ、先生、おはようございます。」

 麻美「そんなさわやかそうな挨拶でごまかそうとしてもダメだよ。」

 達也「いやー、先生。
    今日は又一段とお美しい。」

 麻美「そういう歯が浮くようなお世辞を言ってもダメ。」

 達也「お世辞じゃないですって。」

 麻美「あら、そう?」

 達也「ええ、もう。
    僕って幸せだなあ。
    担任の先生がこんな美人で。」

 麻美「木村君。
    今授業中なんだけどな。」

 達也「わかってますって。」

 麻美「わかってたら教室に戻りなさい!」

 達也「ここ図書室ですからね。
    そんな大声出しちゃいけないですよ。」

 麻美「又へ理屈を言う。」

 達也「ほら、この人だってびっくりしてるじゃないですか。
    あれ?(授業中なのにここにいてもいいの?)」

 麻美「木村君。
    まさか彼女に変なことしてないだろうね。」

 達也「ちょ、何言ってるんですか、人聞きの悪い。
    僕がここでナンパしてるとでも?」

 麻美「君ならやりかねない。」

 達也「ノーノーノー。
    僕生まれてこのかたナンパなんてしたことないんですから。
    (奈津子に)ねえ?」

 麻美「ホントに?」

奈津子「はい。」

 達也「ちょっとしゃべっただけだよね?」

奈津子「はい。」

 麻美「嫌らしいこととか言われなかった?」

奈津子「あ、はい。少し・・・」

 麻美「木村君!」

 達也「うわ、いってえ!」

     麻美、達也の腕をとりねじり上げている。

 麻美「二度と授業サボったりするんじゃないよ。」

 達也「わかりました!わかりましたから・・・」

     麻美、達也を解放する。

 麻美「はい、授業へレッツゴー!」

 達也「は~、全くキレイな顔して、どこにそんな力があるんですか・・・」

     達也が出て行く。
    
 麻美「悪い子じゃないんだけどな・・・」

奈津実「先生。
    誰ですか、今の人?」

 麻美「そうか。
    上田さんは初めてだよね。
    先週からうちのクラスに転校して来た、木村君っていう子。」

奈津実「あ、何かそういうこと、友達が言ってました。
    東京から来たとか。」

 麻美「違うわよ。
    神奈川。
    どちらにしてもここよりは都会だろうけど。」

奈津子「ちょっとびっくりしました。」

 麻美「そうだろうね・・・
    ところで本当に変なこととか言って来なかった?」

奈津子「あ、いえ、特には・・・」

 麻美「そっか・・・
    じゃ、かわいそうなことしちゃったかな?」

奈津子「そんなことないです!
    授業サボってたんだし。
    それに、先生に対して失礼なことを言ってましたから。」

 麻美「そうだったかな?」

奈津子「美しいだの、キレイだの、ああいうのってセクハラじゃないんですか?」

 麻美「まあ、生意気なやつとは思うけどな。」

奈津子「ああいうのが許せないのって、やっぱり私おかしいんでしょうか?」

 麻美「そんなことないって。
    思春期にはよくあること。」

奈津子「先生にもそういう頃があったんですか?」

 麻美「そりゃああるわよ。
    『お父さん汚い!』って毛嫌いしたりね。
    それに私女子校だったし。」

奈津子「私、女子校なら良かった・・・」

 麻美「いや、それはそれでね、いろいろあるし・・・
    私なんか後輩にラブレターもらったりして。」

奈津子「わかるような気がします。」

 麻美「空手なんかやってたからね。
    とにかく男っけのある環境じゃなかったな。
    だから正直男の人は大の苦手だったわね、あなたと同じ。
    口を聞くのも苦痛だったくらい。」

奈津子「先生もですか?」

 麻美「私は空手一筋って感じだったからね・・・
    あなたも何か打ち込めるものがあるといいかもよ。」

奈津子「空手ですか・・・
    私には無理です。
    運動音痴だし。」

 麻美「だけどね、大学入ったらアッサリよ。」

奈津子「アッサリ?」

 麻美「だから上田さんもあまり思い悩まないことだね。
    ホント、後から思えば笑い話に思えるくらい、いつの間にか治っちゃうから。」 

奈津子「だといいんですけど。」

 麻美「えっと、5時間目は体育だから大丈夫だね。」

奈津子「はい。」

 麻美「6時間目はダメそう?
    今日から源氏物語に入るんだけどな。」

奈津子「ごめんなさい。」

 麻美「ああ、気にしないこと。
    じゃ、ここにいる?」

奈津子「はい。
    源氏はここで読んでます。」

 麻美「それじゃ、私も授業中だから。」

奈津子「えー?
    いいんですか?」

 麻美「良くはないよ。
    じゃーね。」

     麻美が出て行くと、すぐ入れ替わりのように達也が戻って来る。

 達也「何だよ。
    教師の風上にも置けないな。」

奈津子「木村君。」

 達也「あ、名前覚えてくれたんだ。
    うれしいねえ。」

奈津子「授業に行ったんじゃなかったんですか。」

 達也「いやー、僕って中途半端は嫌いだからね。
    サボると決めた以上はサボらないと。」

奈津子「どういう理屈ですか。」

 達也「中途半端はいけないって、家訓なんだよ。」

奈津子「嘘ばっかり。」

 達也「ちなみに僕、下の名前は達也。
    きむらたつや。
    キムタクと一字違い。
    なんちゃって意味ないけどさ。」

     奈津子、無視を決め込んでいる。

 達也「あ、君の名前は?
    上田さんだっけ?」

奈津子「何で知ってるんですか。」

 達也「さっき盗み聞きしてたから。」

奈津子「最低ですね。」

 達也「サイテーか、ははは・・・
    で、下の名前は?」

奈津子「あなたに言う必要はないです。」

 達也「そんな冷たいこと言わないでよ。
    一緒に授業サボってる仲じゃない。」

奈津子「一緒にしないでください。」

 達也「じゃ、何してんのよ、ここで?」

     携帯電話のメールの着信音。 
     達也メールをチェックして笑う。

奈津子「携帯の持ち込みは禁止ですよ、この学校。」

 達也「みんな持ってるんじゃない?」

奈津子「私は持ってません。」

 達也「(メールをチェックしながら)ははは。
    読む?」

奈津子「いいです。」

 達也「神奈川の友達からだけど。
    向こうも今授業中だって。」

奈津子「ロクでもない学校ですね。」

 達也「そう言わないでよ。」

奈津子「女の子ですか?」

 達也「いや。
    僕男子校だったから。」

奈津子「何返信してるんですか。」

 達也「だから今サボって女の子とダベってるって。」

奈津子「話をねじ曲げないでください!」

 達也「いや、まんまじゃん。
    向こうは男ばっかでしょ。
    うらやましがらせてやろうと思ってさ。」

奈津子「何だか私までサボってるみたいじゃないですか!」

 達也「えーっと・・・ケッコウカワイイシ、キョニュウッポイ・・・」

     奈津子、怒って席を立つ。

 達也「あ、上田さん。
    ゴメン、怒った?
    冗談だよ、何も打っちゃないって。」

     奈津子は達也を避けるようにして入口に向かい、達也は反対に奈津子が座っていた席に向かう。
     奈津子入口からでようとするが少しためらい、達也の様子を見る。
     達也は奈津子が読んでいた本を取り上げて

 達也「何読んでるの?」

奈津子「やめてください!」

     達也が本を手に取ったのを見て、奈津子は慌てて戻って来る。

 達也「源氏物語か・・・
    はい。」

     達也が本を手渡そうとするが、奈津子はおびえたように受け取ろうとしない。

奈津子「戻して・・・
    あなたが触った本をあそこの棚に戻して来てください。」

 達也「えー?
    何だか、僕バイキンみたいだな。」

奈津子「早く!」

     達也がしぶしぶ本を戻しに行くと、奈津子は席に座って机に伏せる。
     達也が戻って来て声を掛ける。

 達也「上田さん?・・・
    え、何?
    泣いてるの?
    どうしてよ?・・・
    参ったな・・・
    はい。」

     達也はハンカチを差し出すが、奈津子は拒絶する。

奈津子「ごめんなさい・・・
    あの、少し離れててくれませんか。」

 達也「わかったよ。」

     達也、距離を置いて座る。
     奈津子が泣きやんだのを見て

 達也「ねえ、落ち着いた?」

奈津子「はい・・・
    さっきはビックリしちゃって・・・
    ごめんなさい。」

 達也「で、何?
    そんなに僕のこと嫌がってるわけ?
    かなりショックなんだけど。」

奈津子「そうじゃなくて・・・
    私ダメなんです。
    男の人が近付いて来ると。」

 達也「はあ?」

奈津子「ダメなんです。
    どうしても体が震えてしまって・・・」

 達也「何それ?
    病気?」

奈津子「・・・はい。
    男性恐怖症なんです。」

 達也「え、でもフツーにしゃべってるっぽいけど。」

奈津子「話すくらいなら・・・
    それと人にもよりますから。」

 達也「あ、やっぱ僕みたいなカッコイイ男ならオッケーなんだ。」

奈津子「違うと思います。」

 達也「ひどい・・・
    僕またちょっとショック。」

奈津子「ごめんなさい・・・
    あの、男っぽい人がダメなんです。」

 達也「そっか・・・
    僕ってよく女の子みたいって言われるもんね。」

     達也、いかにも「女の子」という感じのアニメソング(「キャンディ・キャンディ」とか)をフリ付きで歌う。
 
 達也「あ、笑ったね。」

奈津子「・・・キモイ。」

 達也「やっぱ笑った方がかわいいよ。」

奈津子「そんなこと言うのはやめてください。」

 達也「僕さ、男子校って言ったでしょ。
    男からコクられたことあるもんね。」

奈津子「そんな趣味があるんですか?」

 達也「僕はないけどね。」

奈津子「あったらこわいです。」

 達也「僕はノーマルだよ。」 

奈津子「ノーマルって?」

 達也「やっぱさ、男の子と女の子が好き合うのがフツーでしょ?」

奈津子「私普通じゃないんですかね。」

 達也「そんなことはないでしょ。
    先生も言ってたじゃん。
    そのうち治るって。」

奈津子「そんなことまで聞いてたんですか。」

 達也「あ、ごめんね。
    別に悪気はなかったんだけどさ。」

奈津子「じゃあ私がここにいる理由も・・・」

 達也「男子と一緒の授業はダメなんだ?」

奈津子「男の人と一緒の空気を吸ってると思うだけで、気分が悪くなるんです。」

 達也「あ、それ、僕も一緒。
    女の子と一緒の空気を吸ってると思うだけで、何かこうウキウキして来るんだよね。」

奈津子「それは違います!」

 達也「冗談だよ。」

奈津子「本当に吐き気がして、体が震えて来るんです。」

 達也「へえ、そりゃ重症だね。
    僕みたいな女々しい男ばっかなら良かったのに。」

奈津子「あなたとだって平気じゃないんですよ。」

 達也「え、マジ?」

奈津子「はい。
    結構我慢してるんですけど。」

 達也「じゃ、僕やっぱ行った方がいい?
    授業。」

奈津子「授業には出た方がいいと思いますけど。」

 達也「もう今さらって時間なんだよね・・・」

     達也、奈津子の様子をうかがっている。

奈津子「私なら大丈夫です。」

 達也「じゃあいてもいい?」

奈津子「はい。
    嫌なことも少しくらいは我慢しなきゃ、生きていけませんから。」

 達也「何かいづらくなる言い方だなあ。」

奈津子「まあ、いても構いませんし・・・
    あ、でも、よそに行ってくれるのにこしたことはないんですけど。」

 達也「どっちよ!」

奈津子「だから、あなたの好きにしてください。」

 達也「じゃあ、いさせてもらうね。」

     お互いに気まずい間

 達也「あのさあ、本読まないの?」

奈津子「あなたの手が触ったから。」

 達也「違う本読んだら?」

奈津子「ほっといてください。」

     達也、さっき戻した本を棚から取って

 達也「源氏物語ね・・・
    僕もさ、口語訳で読んだことあるよ。」

奈津子「そうですか。」

 達也「光源氏って、ろくでもないロリコン野郎だよね。」

奈津子「そんなこと・・・」

 達也「だって普通に読んだらそうでしょ。
    上田さん、そう思わない?」

奈津子「やめてください。
    源氏物語がけがれるような気がします。」

 達也「僕が言ったら気に入らない?」

奈津子「男の人にはわからないです。
    私の気持ちなんか・・・」

 達也「あのさあ、意識過剰じゃないの?」

奈津子「かも知れませんけど。」

 達也「家じゃどうなの?
    お父さんとか。」

奈津子「あー、お父さんとか、子供とか・・・
    いわゆる人畜無害な男の人なら割と平気ですね。」

 達也「じゃあ、今はかなり苦痛なんだ?」

奈津子「いえ・・・何だかびっくりするくらい平気です。」

 達也「あの、それってスッゲエ傷ついちゃうんだけどな、僕。」

奈津子「そうですか?」

 達也「わかんないの?」

奈津子「いえ、もちろんわかって言ってますけど。」

 達也「えーと、あ、あの・・・」

奈津子「無理に話そうとしなくてもいいんじゃないですか?」

 達也「いや、無理言っていさせてもらうのに、退屈させちゃ悪いでしょ。」

奈津子「全く不要な気づかいです。」

 達也「そんなこと言わないでよ。」

奈津子「木村君って変わった人ですね。」

 達也「そう?
    どっちかって言えば変わってるのは上田の方じゃない?」

奈津子「上田って・・・」

 達也「あ、呼び捨てが気にいらない?」

奈津子「何か・・・
    いや、いいです。」

 達也「じゃあさ、下の名前教えてよ。」

奈津子「嫌です。」

 達也「たとえば春江って名前だったら、ってうちのおかんの名前なんだけど、はるちゃんって呼んであげるからさ。
    そしたら親近感わくじゃない?」

奈津子「絶対に嫌です。
    上田でいいですよ。」
 
 達也「どうしてそんなに嫌がるの?
    いいじゃん、名前くらい。
    ケチ。」

奈津子「やっぱり変ですよ。
    どうしてそんなこと知りたがるんですか?
    どうでもいいじゃないですか。」

 達也「そう?
    フツーだと思うけどねえ。」

奈津子「私、嫌がってるんですよ、あなたのこと。」

 達也「え?
    そうなの?」

奈津子「ハッキリそう言ってると思いますけど。」

 達也「いや、嫌い嫌いも好きのうちとか。」

奈津子「その図々しさはどこから来るんでしょうか?」

 達也「話だってこんなにはずんでるじゃない。」

奈津子「嫌々つきあってあげてるだけだってこと、わかりませんか?」

 達也「そりゃま、そういう感じはするけど。」

奈津子「話がはずんでる?
    そういう勘違いはやめてください。」

 達也「あのさあ・・・」

     達也、立ち上がって奈津子に近寄ろうとする。
     奈津子は置いてあったカバンを取って身構える。

奈津子「来ないで!
    たたきますよ。」

 達也「ねえ、きっと大丈夫だよ。
    僕、人畜無害なことには自信があるんだから。」

奈津子「嘘です。」

 達也「いやマジ。
    前の学校で『彼女ができそうにない男』のナンバーワンに選ばれたんだから。」

奈津子「それは論点がずれてます。」

 達也「それにホラ、もう結構近づいてしゃべってるじゃない?」

奈津子「私・・・
    震えてるの、わからないんですか!」
 
     泣き出しそうな奈津子の様子を見て、達也席に戻る。

 達也「ごめんね。
    試すようなことしちゃって。」

奈津子「心臓が爆発しそうです。」

 達也「え、マジ?
    僕もだよ。
    何かドキドキしてる。」

奈津子「あ、あの、もう絶対に近付かないでくれますか?」

 達也「もちろん。」

奈津子「それから・・・
    使わないって約束してくれますか?」

 達也「え?
    何のこと?」

奈津子「奈津子です。
    下の名前。」

 達也「あ、ああ、ナツコさんか。
    ナッチャンだね。」

奈津子「やめてください!」

 達也「そうだった・・・
    ごめんね。」

     間 

奈津子「何でそんなに私につきまとうんですか?」

 達也「え?
    離れてるよ。」

奈津子「そういう意味じゃありません。」

 達也「わかるでしょ。」

奈津子「わかりません。」

 達也「話がしたいのよ。」

奈津子「どうして?」

 達也「どうしてって・・・」

奈津子「理由はないんですか?」

 達也「いや、だから・・・」

奈津子「理由がないんだったら、やめてくれませんか。
    本当に、私男の人が嫌なんですよ。」

 達也「じゃあ、言うよ。
    えっと、上田さんが、結構かわいいなって思ったから、話したいなって、思ったわけ。
    どう?
    フツーでしょ。」

奈津子「先生との話聞いてなかったんですか?」

 達也「えっ?」

奈津子「私許せないんですよ。 
    女の人にお世辞を言って話し掛けて来るような男の人が。」

 達也「お世辞じゃないよ。」

奈津子「先生にも同じこと言ってましたよね。」

 達也「どっちも本気だよ。」

奈津子「大嘘です。
    私なんか・・・」

     携帯メールの着信音。
     達也確認すると、乱暴に画面を閉じる。

 達也「ちっ!」

奈津子「又友だちからですか?」

 達也「いや、家から。
    神奈川の。」

奈津子「神奈川の?」

 達也「僕ちょっとワケありでさ、こっちの親戚の家に預けられてるのよ。」

奈津子「それで転校したんですか。」

 達也「全くとんでもない所に来らされちゃったよ。」

奈津子「田舎ですからね。」

 達也「学校から山が見えるなんて信じられない。」

奈津子「あちらには山がないんですか?」

 達也「いや、あるけどさ。
    学校は町中にあったから、周りはビルばっかりで。
    この学校来てもうビックリ。」

奈津子「前は山で後ろは海ですからね。」
    
 達也「でしょ?
    学校サボってどっかぶらぶらしようかなって、出てみたら何もないんだもんね。
    コンビニもないんでしょ?
    周り見たら、海と山と畑って・・・
    終わってるよ、ここ。」

奈津子「私は好きですよ、この町。
    景色はきれいですし・・・」

     授業終了のチャイムが鳴る      
 
 達也「あ、ヤバイ。
    又あの先生に捕まっちゃうよ。」

奈津子「もう授業サボらないでください。」

 達也「ははは。
    又来るかも知れないよ。」

     達也、急いで出て行く。
     しばらくして麻美が入って来る。

 麻美「上田さん。
    今日も先生の部屋でお弁当食べる?」

奈津子「あ、今日は教室で食べます。」

 麻美「大丈夫?」

奈津子「はい。
    男子はあまりいないと思いますし。」

 麻美「そう。
    じゃあ私はここで調べ物があるから。」

奈津子「今から教室に行って体育の授業には出ます。」

 麻美「そうね。
    頑張って。」

奈津子「はい。」

     奈津子席を立つが、部屋を出る前に思い出したかのように振り返る。

奈津子「先生、さっきの人なんですが。」

 麻美「ああ、木村君?」

奈津子「どういう人なんですか?」

 麻美「何か嫌なことでもあった?」

奈津子「いえ・・・ただ、平気で授業サボってましたから。」

 麻美「なかなか学校やクラスになじめないみたいでね。」

奈津子「それで授業をサボって・・・」

 麻美「たぶん学校も合ってないんだと思うのよ。
    向こうの学校、かなりの進学校だったみたいだから。」

奈津子「そうなんですか。
    じゃあ、どうしてこの学校に?」

 麻美「プライベートのことはちょっとね・・・」

奈津子「そうですよね。」

 麻美「とにかく家庭の事情で一時的にこちらへ来ているらしいんだけど。」

奈津子「一時的、ですか。」

 麻美「それもあるんだろうけど、彼の方からみんなと距離を置いてるみたいなのよね。」

奈津子「あ、ありがとうございました!」

 麻美「まあ、あなたとはあまり関わりがないだろうけどね。」

     奈津子、うれしそうに出て行く。
     あこがれの松岡麻美先生と話すだけでうれしくて、奈津子は元気になるのだ。
     麻美はしばらく書架を探っていると、一冊の本を取り出して席に着き読み始める。
     そこへ達也が入って来る。

 達也「あ、先生。
    こんにちは。」

 麻美「あら、さっきも会ったね。
    授業中に。」

 達也「いやあ、相変わらずオキレイで。」

 麻美「ありがとう。
    お昼はもう食べたの?」

 達也「僕お昼は食べないんで。」

 麻美「体に悪いわよ。」

 達也「いやあ、実はお昼代がないんですよね。」

 麻美「嘘でしょ。」

 達也「本当ですよ。
    僕、何か一度も会ったことない親戚の家に無理矢理押しつけられたみたいで、お金くれ、なんてとても言い出せない感じでして。」

 麻美「お昼代くらいくれるでしょ?」

 達也「使っちゃったんですよ、ケイタイの通話料とかに。」

 麻美「何だ、自業自得か。」

 達也「おじさんとおばさんに迷惑かけてると思いますから。」

 麻美「じゃあ、お金貸しといてあげるから、食堂に行って来なさい。」
    
 達也「今日はいいですよ。
    腹が減って我慢できなくなった時にはお願いします。」

 麻美「ホントにいいの?」

 達也「はい。
    僕、人が多い所ってマジ苦手ですしね・・・」

 麻美「木村君。」

 達也「はい。」

 麻美「それ、授業をサボる言い訳にはならないよ。」

 達也「わかってますけど・・・
    だけど、さっきの人はいいんですか?」

 麻美「上田さん?
    あの子はね、ちょっと精神的に授業に出づらいことがあって・・・」

 達也「保健室登校ってやつですか。」

 麻美「良く知ってるじゃない。」

 達也「僕だって似たようなもんなんですけど。」

 麻美「ダメだよ。
    ちゃんと医師の診断書とか必要なんだからね。」

 達也「いや、僕はそんなこと考えてませんから・・・
    ところで何の本ですか、先生。」

 麻美「ああ、ちょっと源氏物語について調べたいことがあってね。
    今日から授業でやるから。」

 達也「そう言えばさっきの人も源氏物語の口語訳を読んでましたよ。
    実は僕も本を読むのが好きでして。」

 麻美「へえ。
    ちょっと意外だね。」

 達也「源氏物語って、ひどい話ですよね。」

 麻美「そう?
    どうして?」

 達也「光源氏が小さな女の子を自分好みの女性に仕込んでいく話があるじゃないですか。
    何か男が勝手な話ばかりで・・・」

 麻美「そりゃ現代の目で見ればそうかも知れないけど。」

 達也「僕男だけど全然共感できないです。」

 麻美「紫式部も、こんな高校生に批判されるとは思ってなかったでしょうね。」

     そこへ奈津子が入って来る。

奈津子「先生!」

 麻美「あれ?
    もうお昼食べたの?」

奈津子「はい。
    ほとんど食欲がなかったので。」

 達也「やあ。」

奈津子「何やってるんですか!」

 達也「担任の先生と話してただけだけど。」

奈津子「先生と気安く話さないでください!」

 麻美「上田さん・・・」

 達也「せっかく美人の先生と話してたのにな。」

奈津子「それ、セクハラです。」

 達也「じゃあ、先生。
    僕もう行きますから。」

 麻美「あ、じゃーね、木村君。」

 達也「光源氏の方がよっぽどセクハラだよ・・・」

奈津子「先生!」

     達也は出て行く。
     いつになく険しい奈津子の口調と様子にとまどう麻美。
     数日後、奈津子と麻美が話している。

奈津子「本当に何とかならないんですか、あの人。」

 麻美「今日も来たの?」

奈津子「はい。授業サボってはやって来て、休憩になると出て行くんです。」

 麻美「どのくらい。」

奈津子「今日は3時間も。」

 麻美「私もずっと彼を見張ってるわけにはいかないからね。
    移動教室の授業はほとんど出てないみたいなんだよね。」

奈津子「あれじゃ進級出来ないんじゃ・・・」

 麻美「ここは一時的らしいからね。」

奈津子「保護者の人に注意してください!」

 麻美「・・・それがね、人に危害でも加えるんじゃなきゃ、好きにさせてくれって。
    うちは預かってるだけなんだからって・・・」

奈津子「私にとってはものすごく苦痛なんですけど。」

 麻美「彼が又転校するまで我慢出来ないかな?」

奈津子「嫌です!
    学校に来るのもゆううつなんです。
    あの人が来ると思うと。」

 麻美「困ったね・・・
    保健室は保健室で別の男の子がいるしね。」

奈津子「あの、先生。」

 麻美「何?」

奈津子「どうしてなんでしょうか?私、木村君に男性恐怖症だって言ってるし、はっきり嫌がってるの、わかってるはずなのに・・・」

 麻美「イジメたいんだろうね。」

奈津子「そんな!」

 麻美「あ、ごめんね。
    思い出させるようなこと言っちゃって。
    集団で暴力も含めたイジメじゃなくて・・・
    小学生の男の子が、気になる女の子にちょっかいを出す、みたいな。」

奈津子「・・・それ、頭では理解出来るんですけど・・・」

 麻美「実際、それほど嫌なことしてくるわけじゃないんでしょ?」

奈津子「はい。
    ただ、こっちは本を読んでるのに、やたらと話し掛けて来て・・・」

 麻美「うるさい?」

奈津子「まあ・・・
    そうですね。」

 麻美「学校に来れなくなるほど苦痛かな?」

奈津子「・・・」

 麻美「もしかしたら、あなた彼を受け入れつつあるんじゃないかな?」

奈津子「そんなわけありません!
    どうしてそんな意地悪なこと言うんですか!」

 麻美「上田さん・・・
    ごめんね。」

     間
     奈津子、言おうか言うまいかためらうが、決心して言う。

奈津子「あ、あの、先生・・・変なうわさを聞いたんですけど。」

 麻美「え?
    何?
    急に。」

奈津子「先生が結婚される、とか・・・」

 麻美「誰かそんなこと言ってた?」

奈津子「あ、いえ・・・ただ友だちがそんなうわさがあるって教えてくれたんです。」

 麻美「困ったもんだね。
    そういう根も葉もないうわさを広められちゃ・・・」

奈津子「じゃあ、違うんですか!」

 麻美「もちろんよ。」

奈津子「良かった・・・」

 達也「いやあ、火のない所にうわさは立たないって言いますよ。」

     いつの間にか入口から顔をのぞかせた達也が口をはさむ。
     驚く2人。

 達也「結構クラスじゃその話で持ちきりですよ。」

 麻美「木村君!
    ちょっとこっちへ来なさい。」

 達也「あ、僕もう教室に戻りますから。」

 麻美「待ちなさい!」

 達也「勘弁してくださいよ。」

     相次いで出て行く達也と麻美。
     残された奈津子は暗い表情である。
     ストップモーション。
     時間がたった。
     達也が戻って来る。

 達也「いやあ、ひどい目にあっちゃったな。
    あの先生、怪力に加えて足も速いのなんの。」
 
     奈津子、達也から視線を外す。

 達也「思いっ切り腕を決められちゃったよ。
    で、その後先生何て言ったと思う?
    『今度は腕の1本くらいへし折るよ』って。
    あんな美人に言われたら怖いのなんの。」

     奈津子無反応を装う。

 達也「上田さん?・・・
    上田?・・・
    ナツコさん?・・・
    ナッチャン?」

     何を言われても奈津子は無反応。
     達也が正面から近寄って行くと、奈津子は反対を向く。

 達也「ほら、僕近寄っちゃうぞ・・・
    襲っちゃうぞ・・・」

     何をされても奈津子は反対を向くしか反応しない。

 達也「参ったな。
    シカトすることに決めたんだ。
    僕、そういうの一番嫌なんだ、言わなかったっけ?・・・
    ぶっちゃけ、今クラスでもシカトされてんのよ、僕。」

     奈津子無反応。

 達也「そりゃあさ、僕だって悪いんだよ。
    この学校って言っちゃ悪いけど勉強のレベル低いじゃん?
    何か授業もカッタルイし、僕、そういうのってすぐ表に出しちゃう性格だから。
    すごくイヤミなやつに見えるだろうさ。
    それに正直、こんな田舎ってバカにしちゃってるしね。
    シカトされてもさ、しょーがないっちゃあ、しょーがないんだよね・・・」

     奈津子無反応。

 達也「上田さんだけなんだよね。
    とりあえず相手にしてくれるのは・・・
    あ、だけど、それだけじゃないよ。
    ホント、マジで、かわいいなあって、思ってるから。
    僕、そんな風に見えないかも知れないけど、嘘とかお世辞とか言わないから。
    むしろ、正直過ぎて嫌われる方だからさ。」

     携帯電話の呼び出し音。
     達也慌てて出る。

 達也「はい、もしもし・・・
    いや、だから、授業中だって!
    昼間は掛けんなって言ってんだろ!・・・
    大事な話?
    ああ、いつ戻れんだよ?・・・
    はあ?
    冗談じゃねえよ!」

     達也激怒して、携帯電話を乱雑に切る。
     奈津子、初めて耳にする達也の乱暴な大声にびっくりして振り向くが、すぐに又向こうを向き無反応を装う。

 達也「もう終わりだよ。
    いつあちらに戻れるかわからないんだって。
    僕の人生、お先真っ暗だよ・・・」

     奈津子、懸命に無反応を装うが、体が震えて止まらない。

 達也「結婚なんかするもんじゃないよね。
    特に僕みたいな望まれない子供が原因の時はね・・・
    上田さん、先生の結婚間違いないみたいだよ。
    まさか出来ちゃった結婚じゃないだろうけどね・・・」

     奈津子、立ち上がって達也の頬を思い切り叩く。
     達也はイスごと倒れる。

 達也「いってえ!・・・
    男性恐怖症じゃなかったの?・・・」

     暗転。
     数日後、麻美と奈津子が話している。

 麻美「・・・そういうわけでね、彼もう来ないと思うから安心して。」

奈津子「そうですか。」

 麻美「だけど、クラスがそういう状況だったってことに気づかないなんて、私教師失格だね。」

奈津子「そんなことないと思います。」

 麻美「まあ彼も、こうなった以上卒業まで長いわけだから、努力してクラスに溶けこむようにするだろうから。」

奈津子「・・・努力で何とかなる問題なんでしょうか。」

 麻美「彼は男だからね。
    少々我慢して頑張らないと。」

奈津子「男も女もないと思います。
    頑張って何とかなるくらいなら、私だって・・・」

 麻美「あ、上田さんはいいんだよ。
    ホントに努力で何とかなる問題じゃないんだから。」

奈津子「私、木村君とあまり変わらない気がするんです。」

 麻美「あなたの問題は、時間が解決してくれるんだから。
    あせっちゃダメだよ。」

奈津子「だけど、前よりもっとクラスに行きづらくなった気がするんです。
    男子がいるかどうかの問題だけじゃなくて。」

 麻美「3年に上がれば、女子の多いクラスになるんだから・・・」

奈津子「それに先生の担任でもなくなるかも知れませんよね。」

 麻美「それは、わからないな。」

奈津子「先生!
    どうして私に授業に出ろって、言ってくれないんですか?・・・
    私なんかどうでもいいって思ってるんじゃないですか?」

 麻美「上田さん。
    あなた今日ちょっと変だよ。」

奈津子「・・・申し訳ありません。
    先生を責めるようなことばかり言ってしまって・・・」

 麻美「じゃあ私、次授業があるから。」

     チャイムが鳴り、急いで立ち去ろうとする麻美を、奈津子呼び止める。

奈津子「先生!
    あ、あの、ご結婚、おめでとうございます!」

     直立不動で深々とおじぎをする奈津子。
     麻美は無言で出て行く。
     奈津子は麻美を見送ると放心したように座り、次第に泣き始める。
     達也が入って来る。

 達也「ヤバイヤバイ。
    先生と鉢合わせになる所だったよ。」

     達也は奈津子が泣いているのを見て近寄り声を掛ける。

 達也「上田さん。」

     達也は出会った時のように、ハンカチを差し出す。
     奈津子はためらう。

 達也「僕さあ、先生には頑張るって言ったんだけど、ぶっちゃけ授業に出るのスッゲエ苦痛なんだよね。
    情けないんだけどさ。」

     奈津子、ハンカチを受け取って涙を拭く。

奈津子「ありがとう。」

 達也「ねえ、もし良かったら、一緒に授業に出てくれないかな?」

奈津子「うん・・・」

     奈津子は初めて達也に好感を持った。
     春の予感。

     ~おしまい~
    

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プロフィール
HN:
ゴルゴ40
年齢:
60
性別:
男性
誕生日:
1963/12/06
職業:
高校英語教員
趣味:
脚本創作・詰将棋・競馬・酒・女・仕事
自己紹介:
 ここには高校演劇用の少人数で1時間以内、暗転のほとんどない脚本を中心に置いてあります。

 上演を希望される方は脚本使用許可願を使って連絡してください。無断上演は厳禁です。
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